俳優祭の想い出
歌舞伎の想い出としてよく覚えているのは、だいたい2~3年に一度ぐらいのペースで行われている「俳優祭」です。詳しいことは主催している日本俳優協会のサイトを見ればわかると思いますが、ひとことで言うと歌舞伎の文化祭のようなもので、いわゆる大看板の俳優から若手まで、現役の歌舞伎俳優ほぼ全員が一堂に会していろいろなことをやる、一日だけの公演になります。歌舞伎座で行われることが多いですが、昨年(2003年9月)には10月を最後に建て替えのためしばらく閉鎖となる国立劇場で行われました。
近年では、まず最初に大顔合わせの舞踊や、時代を担う若手を主体とした短い演目を上演し、その後俳優祭の名物「模擬店」が始まります。歌舞伎俳優たちが店主となってイベント限定のオリジナルグッズや飲食物、おみやげ品などを販売したり、ゲームコーナーなどが設けられたりします。素顔の歌舞伎俳優が間近で見られるため、うっかりしていると自分の身に危険が及びそうなぐらい大盛況となります。最後に、創作だったり既存の芝居の改訂だったり時々で違いますが、面白さをふんだんに込めた趣向をこらした芝居をひとつ上演して終演となります。
俳優祭も何回か観ていますが、想い出に残っているのは、当時映画で大ヒットしていた「タイタニック」の歌舞伎版。正直よくやったなと思います。他にも白雪姫やシンデレラを歌舞伎でやったり、天地会といってふだんは立役(男性の役)ばかりをやっている人が女形(女性の役)、女形の人が立役をやるといったふだんとは違う芝居をやったこともありました。
また、かつて俳優祭の名物とされたものの話もありますが、これは次回にしようと思います。