国立劇場の想い出
歌舞伎座とともに東京で歌舞伎を主に上演している劇場として、三宅坂の国立劇場があります。6、7月に行われる「歌舞伎鑑賞教室」も含め、年間6~8ヶ月ぐらいは歌舞伎を上演していました。劇場は現在は建て替えのため閉鎖中ですが(建て替えが実現するかどうか微妙なようですが…)、他の劇場で国立劇場の主催公演を行っています。
1966年11月開場と、こちらも何だかんだで歴史を重ねています。国立の劇場を建てるという構想は明治の初期からあったようで、その後戦争などもあってなかなか実現せず、昭和の半ばになってようやく完成した待望の劇場だったそうです。外観は奈良の正倉院のような校倉造を模していて、なかなかに個性的でした。外観からはわかりづらいのですが、ひとつの建物の中に大劇場と小劇場があり、歌舞伎は主に大劇場で上演されていました。また、前庭にさまざまな種類の桜の木が植えられていて、花見の時期にはなかなか壮観でした。
歌舞伎座と同じように、国立劇場でもいろいろな芝居を観てきました。国立劇場の主催公演だけでなく俳優の自主公演もよく行われていました。
国立劇場で一番覚えているのは、正面の入口を入ってすぐ目に入る「鏡獅子」の像です。近代日本を代表する彫刻家の一人である平櫛田中の作。かなり大きな目立つもので、一度見たら忘れられないぐらい迫力があります。この像のモデルは明治から昭和初期に活躍した近代の名優の一人である六代目尾上菊五郎です。
また、くだらない話ではあるのですが、国立劇場の特に大劇場はロビーがかなり広くなっており、なかなかに快適でした。いつになるかわかりませんが、庭の桜とともに再建された時に同じようになっているといいなと思っています。